先日、母方の祖母が亡くなりました。九十八歳でした。十年くらい前からアルツハイマーとなり、最後の一年間は寝たきりでした。
アルツハイマーになる前の祖母は、とても優しい穏やかな人でした。ずっと祖父を愛していると、可愛らしく言葉で伝える素直な人でした。
ゆかりは(子供の頃のわたし)はそんな祖母が大好きで、ゆかりのこともいつも「ゆかりは可愛いなぁ、ゆかりはおりこうさんじゃ」と頭を撫でながら、優しくゆかりを包んでくれていました。ゆかりの存在を肯定してくれる人とでした。
ゆかりはきついお粉の匂いが嫌だと思いながらも、祖母の隣は唯一安心できる場所でした。
祖母はゆかりが幼い頃、半年に一度くらいのペースで家に二、三日、泊まってくれていました。来る日がわかると指折り数えて心待ちにし、来た日は嬉しくって嬉しくって。でも来た瞬間から帰ってしまう日が悲しくって悲しくってどうしようもなかったのを覚えています。
祖母が家にいる間は、母もうれしそうで優しく、体罰はありませんでした。父親から怒鳴られても、祖母がかばってくれました。祖母がいる間は家の中も安心できる場所になりました。
祖母がいてくれてなかったら、ゆかりの幼少期はもっと辛く寂しいものだったと思います。
そんな大切な祖母に対しても、中学の反抗期には優しくしてあげれなかった。素直になることが出来なくなってしまいました。
唯一の理解者も、両親のお陰で汚い大人の仲間入りになってしまい、私は自ら心の壁をつくってしまいました。祖母に一生懸命、父親からの被害を伝えた言葉は、母親の根回しにより、私の夢の中のこととなってしまってました。
亡くなったと知らせを受け、車で1時間半のところに子供達と向かいました。
老衰で穏やかに天国に召されました。
ふくよかだった祖母はとても痩せていて、私は一人置いていかれたような気持ちになりました。子供の頃、ずっと一緒居たかったのに祖母は「おばあちゃんもずっとゆかりとおりたいけど、おじいちゃんが待ちよるから帰るわなあ」と言って、バスに乗ってしまいます。
私はいつも次はいつ来てくれるのか、何度も聞きました。今度も祖母は、おじいちゃんのいる天国に行ってしまいました。今回もゆかりは置いてけぼり。おばあちゃん!!私も一緒に連れってよ。私はゆかりに最後のお別れをするように促しました。自分でも思いがけない程、涙が溢れました。
ゆかりは最後にもう一度、祖母の温かい手で、頭を撫でて欲しかったと思います。
「ゆかりに安らかな時間をくれてありがとう。あの時間がなかったら、ゆかりの人生はもっと悲惨なものになっていたとおもうよ。ゆかりを助けてくれてありがとうね」と心の中で呟きました。
お通夜に、父親は来ませんでした。お陰で穏やかな気持ちで祖母をお見送りすることができました。
父親は告別式に合わせてやってきました。お寺の方のお経も終わり、祭壇に飾ってあるお花をみんなで棺の中に入れて火葬場へと見送り、火葬場の方の淡々とした説明を聞き、最後に祖母の顔を見ながらお別れを言いました。その間、父親は泣いていました。
私は父親の泣き顔を、私の記憶の中では初めて見ました。
祖母が汚されるようで、私は腹立たしく思いました。お前に泣く資格があるのか。大切な孫の女の部分を犯しておきながら。祖母が本当の事を理解できていたら、お前のことを許すはずがない。葬式に出てくれることも嫌に思うに違いないと思いました。
祖母なら全面的に私の味方でいてくれたはずだ、と思いたい。私の産まれてきた存在を肯定できる、最後の叶わない希望の、私の勝手な思い上がりです。
現実は、祖母も父親が私を犯していたと知ったところで何も変わらなかったと思います。母親と同じでなかったことにしていたことでしょう。
どうして昔の女性はそこまで弱く、自分を押し殺して生きているのか。我が子や孫を犠牲にしてまで守り続ける家庭に、何の価値があるのか私には理解できません。
おばあちゃん、迷わずにおじいちゃんのところに行ってね。私はもう少しこちらで頑張ってみようと思ってる。
私のような犠牲者がこれ以上増えないように、声を大にして「私は、父親により処女を奪われた被虐待児だ」と、言わなくては。
私は、今まで弱すぎたあなたたちの娘や孫としてあなたたちの分も強く生きたい・・・
ちなみに私の娘は、無茶苦茶強い意志を持った女性に育ちました。周りに翻弄されることなく自分のするべき事をしっかり見据え、大地を踏みしめて生きている感じがひしひしと伝わって来ます。二十歳そこそこの子には思えません。旦那さんになる人は大変だと思います。恐妻家間違いなし!(爆笑)
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